アベノミクス、周知の通り2012年12月に誕生した安倍晋三内閣の経済政策である。余談だが、故衆議院議員中川秀直の造語でもある。2012年12月、この時期を起点に企業経営が上昇に転じるのだが、ここから怒涛の如く経営不振に陥った企業がある。それがfonfunだ。

fonfunの事業は現在、「リモートメール事業」、平成26年から登場した「SMS事業」、平成28年から始めた「データエントリー事業」(平成27年にその他セグメントで登場している)、今期からセグメントとして掲載された「受託ソフトウェア事業」という事業で構成されている。

過去を振り返ってみると、2012年3月期(連結)の決算は売上高764百万円、営業益78百万円、経常益68百万円、最終益195百万円と、なんとか持ち堪えていたが、2013年から激減し始める。2013年3月期の決算こそ、売上高617百万円、営業益27百万円、経常益37百万円、最終益9百万円とギリギリの黒字で決算を迎えたものの、2014年3月期から2017年3月期まで4期連続で最終益が赤字に転落、年を追うごとに赤字幅は拡大し、現在では「継続企業の前提に疑義の注記」(投資家への注意喚起)がついている。

fonfunは平成22年(2010年)12月8日の適時開示にて「第三者調査委員会の設置に関するお知らせ」と題し、不正取引を公表。この事件は大株主であるAとの関係が悪化した当時の代表取締役三浦が、A関係者を会社の株主から一掃するために、社外の協力者によってA関係者が保有する株式を取得させようと試み、 実体のない取引名目等により会社から株式取得資金等を流出させた。また、厄介なことに当時の経営サイドが組織ぐるみで行っていたのである。

事件後の2011年3月期第3四半期決算短信にて、特別損失52百万円を計上、また追加情報として過年度の不適切会計処理に於ける利益剰余金の減少額を「449,496千円と認識いたしました」と発表した。

このように見ていけば、「前経営陣の不適切会計処理があったから、業績が低迷した」と言いたいところではあるだろうが、実は2009年3月期から利益剰余金は△2,466百万円とケタ外れなマイナスに転落し、以降はケタ外れが続いている。

要するに、この企業は基盤となる事業を生み出せていないのが最大の問題点なのである。現経営陣も分かりすぎるくらい分かっているはずであろう。だが、飛躍する事業が見当たらない。

ちなみに平成23年3月期の不適切会計処理事件時においてのセグメントは以下である。

①「リモートメール事業」

②「コンテンツ事業」

③「テレマーケティング事業」

④「その他」

過去も今も「リモートメール」に頼り切りなのだ。ここから脱出しない限り、fonfunに明るい展望は見えてこない。

また、JASDAQの上場廃止基準には、「最近4連結会計年度(注4)における営業利益(注5)及び営業活動によるキャッシュ・フロー(注6)の額が負である場合において、1年以内に営業利益又は営業活動によるキャッシュ・フローの額が負でなくならないとき」とある。

fonfunの危険なゾーンは正にこの上場廃止基準である。