鹿島「1812」 鉄骨ずれたままでビル建築し、引渡し。デー
タも改ざん
大手ゼネコンの鹿島(東京)がJR大阪駅そばに21階建て
高層ビルを建築する際、測量ミスで骨組みの鉄骨1本が傾き、
3階部分で水平方向に約7センチずれたのに補強作業をしな
いまま工事を続け、完成させていたことが15日に判明。
現場の建築事務所長らは工事の途中で傾きに気付いたが鹿島
関西支店に報告せず、発覚を恐れて設計会社に提出する建築
確認申請に関するデータを改ざん。ビルは安全性を確認する
前に所有者に引き渡されていたという。大阪市は11月、建
築基準法に基づき安全性に配慮するよう鹿島に是正指導した。
今年10月、工事関係者が書いたとみられる情報がインター
ネット上に流れたことが発端となり、鹿島が調査を開始。事
実関係を確認し大阪市に報告した。鹿島は、ビル全体の強度
を解析し安全面で問題はないとしているが、鹿島の対応をみ
ると、組織構造的な問題が存在するように思われる。
かつて、構造計算書偽造問題という事件があった。2005年11
月17日に国土交通省が、千葉県にあった建築設計事務所の姉
歯元一級建築士が、地震などに対する安全性の計算を記した
構造計算書を偽造していたことを公表したことに始まる一連
の事件である。耐震偽装問題とも呼ばれた。発覚当初は組織
的な詐欺ともみられていたが、公判では「姉歯元一級建築士
による“個人犯罪”」だったことが明らかになっている。東
京地裁は姉歯元建築士に懲役5年、罰金180万円の実刑判決を
言い渡し、「自分が圧力を受けた犠牲者であるかのように演
じ悪質」と断罪した。
同様な行為を行い、個人は犯罪で起訴されて有罪判決は受け
ているが、大ゼネコンは許されるのであろうか。