アパレル大手のサンエー・インターナショナル(東京・渋谷)の三宅正彦社長が自社株でインサイダー取引をした疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が調査を進めていることが28日、明らかになった。三宅社長が2006年、公募増資を発表する前に、持ち株数千株を売却したことが職務上知り得た「重要事実」を利用した行為に該当するかどうか調べている。
 同社は同日、三宅社長が自社株を取得後に売却したことや、監視委から調査を受けている事実を公表。そのうえで「株式売却は増資案検討の初期段階になされ、重要事実の決定以前だった。取引はインサイダー取引に該当すると考えていない」とのコメントを発表した。
 関係者によると、同社は06年春、店舗を拡大する資金を得るため、新株を発行する公募増資を計画。三宅社長は計画を内定した後の4月にストックオプション(株式購入権)を行使して同社株を数千株取得。すぐに売却したという。(NIKKEI)
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上場会社の代表取締役またはその受任者が、2以上の報道機関に対して重要事実を公開したとき(記者クラブにおけるプレスリリースなどがこれにあたる)から12時間が経過する前(12時間ルールという)
重要事実が証券取引所のインターネットのサイト上に掲載される前
重要事実の記載のある有価証券報告書などが公衆の縦覧に供される前
上記を踏まえ、12時間を過ぎなければ「インサイダー取引」にあたる。
三宅社長が2006年、公募増資を発表する前に、持ち株数千株を売却したということは、疑われても仕方ないことである。しかし、サンエー・インターナショナルは「会社も三宅もインサイダーにはあたらない」としている。
理由はこの公募増資は一旦は決定しかけたものの、取りやめたこと。主幹事の野村證券に再度、確認をして増資をしたことを上げている。
三宅はストックオプションで得た株式を売却、これが「重要事実」以前だとしている。だが、どうだろうか。野村證券と口裏を合わせることも可能であるし、一旦は見合わせたという言い方も怪しい。どうとでも情報の操作が可能である点からみれば実にグレーだ。
この種の案件で調査を受けること自体が上場会社の社長として、体を保っていないとしか言いようが無い。