旧年中はいろいろとお世話になりました。
今年も何とぞ、よろしくお願い申し上げます。
さて2009年はどんな激動の年になるのか。
昨年の上場会社倒産件数は30社。今年は50社に及ぶとも言われている。
昨年最後の倒産を飾ったのは「オリエンタル白石」だった。
【2009年の企業不正は…】
今年はかなりの数の企業が不正を働くであろう。それは資金が詰まってなんでもやってしまうからだ。
この世は「金」で思考が変わる。金があれば何もリスクを犯す必要はないから自然と余裕が生まれ、思考はいつも確かだ。しかし一旦、金に詰まった場合はリスクを犯す。自然と余裕を無くし、思考はいつも停止状態になる。思考停止状態の経営者を奈落の底へ突き落すのが、市場をかく乱させる「魑魅魍魎」達だ。これらが、なにかにつけて隙間に入り込んでくる。
しっかりと自分を持っていない経営者はこの輩たちを前に屈する。自然なことだ。思考が停止していて、何をやっているのか理解が出来ない、助かりたい一心でその場に流されてしまうのだ。
しかし、魑魅魍魎の輩は助けてくれるはずもなく「食い物」にされる。貸付を神のような顔をして融通してくれる。しかし繰り上げ返済を要求、そして破産通知、そして乗っ取られる。このスキームでやられるのだ。
また、悪魔の「MSCB」を持ちかけられ、乗ってしまう。本心からの事業再生をビジネスとしている「ファンド」もあるだろう。しかし、そのようなファンドは数えるほどしかない。大体が必ず儲けられるスキームで儲けて逃げる。そもそも、本業がおもわしくないか、サイドの事業で資金に詰まった企業が相手なのだから仕方がない側面もある。
本当の事業再生とは、負債を肩代わりして債権を取得してもらい、そしてその債権でDESをする。あくまでも債務がなければやっていける企業が「再生」されるだけであり、債務がなくても利益を上げることが困難な企業は最初から「事業再生」をもくろんでも意味がないのだ。もがく必要はないのだ。さっさと他の企業の軍門に下るか、拾ってくれる企業がない場合は早い段階で整理するほうがいい。いらない考えを起こすと「魑魅魍魎」の餌食となるだけだ。株主にも多大な迷惑をかける事となる。
キツイ言い方になるが「再生」は成功したかに見えた時にすでに倒産へ向けて動くという実態が数多くある。それは金がその前に尽きるからだ。金回りが悪い企業をギリギリの資金で救済を図っても成功はしない。
潤沢な資金があるファンドなら、事業に詰まった企業を再生するより、もっと他に投資対象物がある。だからこのような企業に投資はしない。とすればこの様な不適格企業に投資をするファンドとはどんなファンドか、それは脆弱な資金でハイリスク、ハイリターンを望むギャンブルファンドだ。
そして再生の絵を描いた「ファンド」に資金が利ざやを乗っけて帰ることは少ない。
そして投資家が「詐欺」だなんだと騒ぎ始める。これはもうパターン化している。
極論すれば「再生」はほとんど無理な場合が多いのが実情だ。
最後に今年の倒産数が昨年以上に増えないことだけは望んでいる。それは日本の恥になるからだ。
日本企業の経営者は「頭脳明晰にして行動力があり、時には冒険もするが、リスクを最小限に抑えることが出来る人物が多い」と他国の企業に評価してほしいではないか。
今年は激動の1年であろうが、幸いにして日本の金融は他国と比べてさほど痛んでいない。もがき苦しんだ「バブル処理」を経験もしている。必ずや日本を「政治」だけではなく企業自身の叡智で100年に1度という未曽有の状況を乗り越えてほしい。