MBO実施中のの幻冬舎(7873)、投資ファンドが30.6%取得
10月29日にMBO(経営陣が参加する買収)の実施を発表し、
見城徹社長が代表を務める特別目的会社が12月14日までTOB
を実施していた、幻冬舎だが、ケイマン諸島に本籍を置く投資
ファンドのイザベル・リミテッド(ヴィジャヤバラン・ムルゲ
ス代表)が、6日時点で議決権の30.6%に当たる8397株を取得
したことが7日判明。幻冬舎の当初のTOB価格は1株22万円
。TOBへの応募が発行済み株式の50%超にあたる1万8300株
に満たない場合は、買い付けはしないとしていた。イザベルは
11月24日以降、数回に分けて市場内で幻冬舎株を取得してきた
模様である。大量保有報告書に保有目的を「純投資」と記載し
ているが、「状況に応じて重要提案行為などを行う可能性があ
る」としていた。
その後幻冬舎は、13日、MBOでの株式の買い取り価格を引き
上げると発表した。見城徹社長が代表を務めるTKホールディ
ングス(東京・千代田)は、1株24万8300円に変更した。買い
付け期間も、28日まで延長した。同時に買い付け予定株数の下
限を最大総議決権数の3分の2超となる1万8300株から過半数
の1万3725株に引き下げた。応募株数が下限に達した場合、
TKホールディングスが応募株券をすべて買い付けるとして
いた。
イザベル・リミテッドが17日に、関東財務局に訂正報告書を提
出し、同株の保有目的を修正した。重要提案行為の狙いとして
「発行者の資本政策、株券などの価格水準、発行者の公開買い
付けの状況などによっては、保有する株券などの価値の維持向
上を目指す」との文言を加えた。そして、21日提出の大量保有
報告で、持株比率が26.10%に上昇したことが明らかになった。
議決権ベースでは34.23%に相当する。すべて市場内で取得した
模様。会社法では、議決権ベースで3分の1超の株式を取得す
れば、株主総会で定款変更などの特別決議案を否決できる。
俄に、経営権争奪戦の様相を呈してきた。前述したように、コ
ンプライアンスに問題がある上場企業のMBOであり、欧米で
は、起こりうることではあった。今後、MBOを実施する上場
企業には、「他山の石」ではあるまい。推移を見守りたい。