フィデック(8423) ゼクスに82億円を供与
フィデックのビジネスモデルは、同社が提携した取引先(ここ
ではゼクス及び関係会社)の支払債務(支払手形部分)を買い取
り、下請の支払先に対して現金で支払うという金利の鞘抜き
ビジネスである。当然、支払手形を買い取るものであり、債権
の回収可能性は、取り扱う提携先の与信に委ねられる。ところ
が、同社はゼクス関係先の債権を膨大に所有して、ゼクスの
実質破綻により、膨大な不良債権を抱んでしまった。
フィデックは、ドン・キホーテがスポンサーになり、破綻危機
を回避できたが、最終的に、ゼクス関連工事の請負代金債権合
計85億2百万円を総額3億円にてシティインデックスセ
ブン社に売却せざるを得ない事態に至った。債権残高の元本
部分だけでも合計82億2百万円が回収不能となった。
フィデックは、64億円余の引当金を既に計上済みであるが、
これは、ゼクスが2008年8月に「継続企業の前提に関す
る注記」が付されたことに基因している。07年7月サブプ
ライムローン問題から外資ファンドが大挙して逃げにかかって
おり、またそれ以前から金融機関は不動産関係への貸付を引き
締めており、ゼクスの経営を直撃した。フィデックは、伊藤忠
商事出身の経営者同士であり親密であったことから、ゼクスと
の関係を断ち切れず、今回の特別損失計上となった。当然関
係役員は代表も含め既に更迭されているが、ドン・キホーテの
支援が本格化するなか、今調査報告書でケリをつけ、現在の役
員も全員退任して刷新、ドン・キホーテ派遣の新しい代表によ
り経営していくと発表している。
ゼクスは、昨年5月に上場が廃止されたものの、企業自体は存続
している。今回、結局はフィデックがゼクスに対して82億円を
供与した結果となった。