東京電力
過去の不祥事
東京電力の株価が下げ止まらない。震災前、2200円前後で推
移していたが、四日連続ストップ安で、昨日の引け値は921円
だった。福島第一原発の事故の連鎖、拙劣な対応、役員、本社
社員の責任回避対応を、見ると当然の株価状況ではある。
東北大地震の大津波で、非常用電源が著しい損傷を受け、非常
用炉心冷却装置作動せず、原子炉内の温度が下がらず、今回の
事故につながったものであるが、1977年から、原子力発電所で
行った定期検査に関するデータの改ざんは頻繁に起こっていた。
2007年、福島第一、第二(いずれも福島県)、柏崎刈羽(新潟県)
の原発、合計17基中13基で新たな不正が発覚し、緊急時に
原発のメルトダウンなどを防ぐ非常用炉心冷却装置(ECCS)のポ
ンプ故障を隠して検査を通すなど、悪質な改ざんが明らかになって
いた。
柏崎刈羽1号機では1992年5月、ECCSの一部で、原子炉が
停止した際などに残留熱を取り除く4台のポンプのうち1台が、
定期検査の前日に故障した。そこで故障を隠して定期検査をごまか
し、そのまま原子炉を起動、2日後に復旧した。東電では、ほかの
装置で炉心冷却機能を維持できるため、安全上の問題はなかった
としていた。
福島第一の1~6号機では1979年6月~2002年4月、
柏崎刈羽3号機では1994年11月に、それぞれECCSのポンプ
の圧力計の指示値を改ざんした。また福島第一の1~6号機は
1977年10月~2002年3月、福島第ニの1~3号機は
1990年1月~2002年8月に、それぞれ不正に警報装置の
設定値変更、除外などを行った。
さらに福島第一の1号機は1979~1998年、蒸気の流量を監視
し、弁を作動させる装置を不正に設定して検査を受けた。柏崎刈羽
1~3号機では1994年9月~1998年10月、蒸気の隔離弁
の漏えい率を改ざん。同7号機は1998年8月~2001年
3月、実在しない「タービン機械式トリップ弁作動トリップ」警報につい
て、実在するかのように検査報告した。福島第一原子力発電所2
号機では中性子検出器を不適切な場所に設置して、検査結果をごま
かしてたという。
このほか定期検査とは無関係に、柏崎刈羽原発では放射能の測定
値を改ざんしていた。1995~1997年ごろ、排気筒から出
る放射性物質の濃度が実際より低いように見せかけた。
かように東京電力の原子力発電所は、捏造と隠蔽の歴史である。
役員、本社社員は、今回の事故についても、安全なところで、曖昧な
説明を繰り返し、責任を回避しているだけである。しかし、15日朝に
大爆発をした福島第一原発2号機内部で、真っ暗闇の中、自らの身体
の危険を顧みず、懸命に注水作業を続けている現場社員や協力会社
の社員の存在を忘れてはならない。
下記の役員は、自ら現地に出向いて陣頭指揮すべきであると指摘し
たい。
取締役会長(代表取締役) 勝俣恒久
昭和15年3月29日 (71歳)
取締役社長(代表取締役) 清水正孝
昭和19年6月23日(66歳)
取締役副社長(代表取締役)
原子力・立地本部副本部長 皷紀男
昭和21年8月11日(64歳)
取締役副社長(代表取締役)
電力流通本部長 藤本孝
昭和22年4月13日(63歳)
取締役副社長(代表取締役) 山崎雅男
昭和24年7月22日(61歳)
昭和47年4月 当社入社
取締役副社長(代表取締役) 武井優
昭和24年6月10日(61歳)
取締役副社長(代表取締役)
販売営業本部長 藤原万喜夫
昭和25年8月14日(60歳)
取締役副社長(代表取締役)
原子力・立地本部長 武藤栄
昭和25年6月28日(60歳)
常務取締役
原子力・立地本部副本部長 小森明生
常務取締役 山口 博
常務取締役 廣瀬 直己
常務取締役 内藤 義博
常務取締役 西澤 俊夫
常務取締役 宮本 史昭
常務取締役 相澤 善吾
常務取締役 高津 浩明