日本経済新聞によると「日産自動車は、子会社のカルソニックカンセイの株式を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却する方針」だと報じている。

この発表を受けてカルソニックカンセイは、「本日の一部報道について」と題して、適時開示を発表。「当社株式に関する記事が掲載されましたが、当社として発表したものではありません。本日の報道は、日産自動車が保有する関係会社に関する記事と理解しており、現時点では弊社からコメントする事項はありません」としている。

この「本日の一部報道について」と題する適時開示は、報道の通りとなる場合が非常に多い。

今回の日経の記事もKKRはTOB(株式公開買い付け)によって、日産の持つカルソニックカンセイの41%の株を含む全株の取得を目指す。買収総額は4000億円規模になるとみられる、と具体的に書いているからだ。

カルソニックカンセイの売上高の8割超は、日産である。しかし、日産もカルソニックカンセイを見捨てるわけではない。

日産は、5月12付け適時開示で「三菱自動車工業とのStrategic ALLiance Agreement の締結等に関するお知らせ」と題し、資本提携の内容として、三菱自動車は、当社を割当先予定として三菱自動車の普通株式506,620,577株(議決権数に対する割合34.0%、発行株式総数に対する割合34.0%)を発行する予定であり、当社は、発行される新株式の全てを引き受けるとしている。そして、10月20日予定通りに払い込みを完了し、日産は三菱自動車の34%の株式を取得。カルロス・ゴーンが三菱自動車の取締役会長【代表取締役】となったのだ。

カルロス・ゴーンは、三菱自動車の買収という理由により、部品子会社であるカルソニックカンセイの株式の売却を決めたのであろう。それは、お抱えの部品子会社を売却し、価格競争にさらすことで一層の努力を願うとする、厳しいようで普通のことであり、他のメーカーへの供給も可能となる分、カルソニックカンセイもまた拡大のチャンスと受け取るほかないのである。

日産は、手にするであろう4000億円は三菱自動車に払い込んだ金額2374億円弱の資金に充当するはずだ。カルロス・ゴーンは、買収資金の目途を決めていたから、三菱自動車に手を出したが正解だろう。カルソニックの株式を引き受けるKKRと話がついていたはずだ。先の先という、正に深謀遠慮である。

日本人の経営者も邪なことを考えず、自分の頭で必死に頭を働かせてほしい。自分の地位に安住を求めた時、企業は終焉へ向かうのだ。

今回は、正にCMの通り「やっちゃえ日産!」であった。