●「そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ!!」
2000年、雪印乳業石川哲郎社長(当時)が、大阪工場で発生し
た食中毒事件の釈明会見で、エレベーター付近で寝ずに待ってい
た記者団にもみくちゃにされながら、会見の延長を求める記者に
「では後10分」と答えたところ「何で時間を限るのですか。時間
の問題じゃありませんよ。」と記者から詰問された時の発言。
一方の報道陣からは記者の一部が「こっちだって寝てないんです
よ。そんなこと言ったら食中毒で苦しんでる人たちはどうなるん
だ!」と猛反発。社長はすぐに謝ったが、この会話はマスメディ
ア等で広く配信され、結果的に雪印グループへの不信が急激に
拡大した。
6月25日、雪印乳業大阪工場(大阪府大阪市都島区)で製造され
た「雪印低脂肪乳」を飲んだ子供が嘔吐や下痢などの症状を呈し
た。6月27日に大阪市内の病院から大阪市保健所に食中毒の疑い
が通報された。6月28日保健所から大阪工場に製品の回収を指導
した。
事件直後の7月1日に行われた会社側の記者会見では、大阪工場
の逆流防止弁の洗浄不足による汚染が明らかにされた。大阪保健
所も、それ以上の原因追及は行わなかった。しかし、大阪府警の
その後の捜査により、大阪工場での製品の原料となる脱脂粉乳を
生産していた北海道の大樹工場(北海道広尾郡大樹町)での汚染
が原因であることが判明した。このため、雪印グループ各社の
全生産工場の操業が全面的に停止する事態にもなり、スーパー
など小売店から雪印グループ商品が全品撤去され、ブランド
イメージも急激に低下した。翌年から発生した、グループ会社の
雪印食品の牛肉偽装事件により、グループのイメージダウンは
決定的になり、グループの解体・再編を余儀なくされる結果とな
った。
●「みんな私ら(経営陣)が悪いんであって、社員は悪くありませ
  んから! どうか社員に応援をしてやってください。優秀な社員
  がたくさんいます、お願いします、私達が悪いんです。社員は
  悪くございません」
山一證券野澤正平社長が、1997年11月24日の自主廃業を発表する会
見の場で、男泣きに泣きながら社員をかばったことがテレビで大々
的に放送されて注目を集めた。
野澤社長が2,600億円にも上る違法な巨額の簿外債務を知らされた
のは、社長に就任した後のことであった。前社長・三木淳夫と前会
長・行平次雄の二人は、自分たちが傷口を決定的に広げた問題の尻
拭いを野澤らに押し付けて、自らはさっさと遁走してしまった。
莫大な簿外債務の存在を知らされた野澤らは週明け月曜日(簿外債
務の存在を知らされたのは8月16日の土曜日)ただちにプロジェク
トチームを発足させた。外資との提携や、規模縮小などで会社の存
続を図ったが、野澤が知らされた時点でもはや手に負える様なもの
ではなく致命傷な経営問題となった。株価の下落は止まらず、銀行
の支援も得られず、最後には大蔵省にも見放される形で自主廃業を
決定せざるを得なかった。野澤が社長に就任してわずか3ヶ月での
廃業決断だった。
●「なぜだ!」
三越岡田茂社長(当時)が、1982年、取締役会での岡田解任決議案
を発議され、16対0で可決成立し、その場で非常勤取締役に降格と
なった時の発言。(三越事件)
 
1972年社長に就任。社長としては決断力が高く指示が非常に早かっ
たが、社内では「岡田天皇」と呼ばれるほどのワンマン体制を築き、
意に沿わぬ人物を次々と粛清し、独裁体制を築いていく。
強引な経営手法は1982年6月には優越的地位の濫用で公正取引委員
会から審決を受ける。そして同年8月の「古代ペルシャ秘宝展」で
偽物騒ぎが発生、さらに「三越の女帝」と呼ばれた愛人の竹久みち
への不当な利益供与も明るみに出た。こうした中、水面下では三井
銀行の小山五郎相談役などの三井グループの幹部や三越の反岡田派
を中心とした「岡田おろし」の準備が着々と進められていたのだっ
た。
●「聞いていない。話が違う」
王子製紙篠田和久社長が、2006年北越製紙への敵対的TOBを開始
後、新潟県庁へ事情説明に行ったあと、車に乗り込もうとした際に
北越製紙の工場長らから、嘆願書を突きつけられたときの発言。
この様子が、テレビカメラに収録され、何度も放送された。王子が
弱いものいじめをしている印象が強まり、地元の反発が募った。
王子製紙は、野村証券企業情報部との検討を経て、北越製紙株の株
式公開買付けを行った。しかし北越製紙は三菱商事を引受人として
303億円の第三者割当増資を実施し三菱商事は北越製紙株の24.4%
を取得。また日本製紙グループ本社が北越製紙株を市場で8パーセ
ント買い集め、三菱商事及び日本製紙グループ本社が保有する株式
は、株主総会で拒否権を行使できる約3分の1となり、その後、篠田
は記者会見で買収失敗を認めた。
●「条例に違反しちゃいました。」
東横イン西田憲正社長(当時)が、にやにやして発言
2006年、大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」の西田憲正社長
は、不正な改造工事が発覚した横浜市内の2ホテルを含む計120
の全系列ホテルについて問題がないか調査を行い、来週中に結果を
公表する考えを明らかにしたが、「ドアの向きを変えたり、カウン
ターの位置をずらしたり、といったものを含めれば、行政の許可を
受けずに改造したケースが他にもあるんじゃないかという気がする」
と説明。「『使い勝手が悪いから』と行政に陳情し、完成後に改造
工事を認めてもらうことはよくある」「横浜市のケースでは手続き
を忘れてしまった」