10月29日、幻冬舎がMBOで上場廃止となる旨が発表された。同日の終値
146,000円に対して、公開買付価格は220,000円(50.7%のプレミアム)。
買付予定株は(新株引受権行使を勘案しても)最大27,449株、買付代金は最大 6,039百万円となる。
当社の貸借対照表(平成22年6月30日)を見ると、借入れ金はゼロで、
現預金        4,325百万円 
受取手形・売掛金    5,245百万円
有価証券         705百万円
支払手形・買掛金   ▲2,509百万円
未払法人税等      ▲343百万円
以上を合計すると、ネットキャッシュ(ネットの現預金)に近いもの」 の合計が、7,423百万円。
買付人は60億円の資金で74億円の現預金(に近いもの)を手に入れることが出来るわけである。これ自体は、咎められることではない。
同社には、平成13年8月から平成21年3月にわたり、元管理局長が、私的流用を目的に、銀行預金口座からキャッシュカードを利用して不正に現金を引き出す方法で、9億以上の資金を横領していた事件があった。平成15年の上場前からの不正であり、発覚を逃れるため、会計システムへの不正なデータ入力、承認済み正規データの改竄、不正に出力した帳票による残高照合などによっての隠蔽を図り、裏付けのない債権の計上は長期に渡っていたという。
平成21年5月19日のリリースで、「調査結果に基づく損害額について、民事上の損害賠償請求を行い、債権回収に努めてまりいたい」と表明している。その後、同社のプレスリリースには、経過と結果について、触れたものは一切ない。
株式市場を退出する前に、投資家に対して、上場企業としてのけじめをつけるべきであると指摘したい。