愛知時計電機株式会社は、水道メーター、ガスメーター、電磁流量計、超音波流量計などの流体用計測機器や関連システムを製造する精密機器メーカーである。創業は、1893(明治26)年、陸海軍から各種精密兵器製作を受けていた名門企業である。
11日の同社のリリースによると、「平成22年5月の監査法人による監査にて、当社札幌支店副支店長(以下A)が指摘を受けた長期滞留債権の回収計画について、本社経理本部がフォローを行っていたところ、8月5日にAより、架空売上、循環取引を行っていたため回収できない旨の自白がありました。
当社において直ちに調査を開始し、その結果平成10年頃から本年度にわたってAによる不適切な会計処理が行われていた可能性が判明しました。その後の調査で、Aの自白どおり不適切な会計処理の事実が存在すること、未回収の売掛金等が14億円相当あり、最悪その金額が回収不能となる恐れが判明しました。」
同社は、即日過年度決算修正を発表した。平成17年度から22年第1四半期までの修正額合計は下記である。
売上高の修正額         -2,243百万円
売上原価の修正額        1,999百万円
特別損失、不正取引による損失額  -410百万円
特別損失、過年度損益修正損    -787百万円
法人税等調整額           16百万円
合計              -1,425百万円 
本年3月末の同社の売上高は36,599百万円、純利益は966百万円、影響は、ごく小さい。ただ、またもや名門企業の循環取引である。
ちなみに、同社の7.18%の株式を所有する第二位株主は、御法川法男氏、即ち、みのもんた氏である。みの氏は、同社のライバル会社、株式会社ニッコクのオーナー一族であり代表取締役社長の現職である。
過密スケジュールの合間を縫って毎日出社し、業務を行っているといわれる。
みの氏は自身の番組で頻繁に政・官・業の不適切な関係を厳しく追及しているが、株式会社ニッコクは談合(独占禁止法違反)で、何度も刑事告発をされていて、2003年に、追徴金7500万円、和解金3900万円を支払い、翌2004年には、再び他のメーカーとの談合で刑事告発された。さらに別口の談合で家宅捜査を受け、2005年2月には、追徴金400万円を支払っている。
2004年7月15日、ニッコクと愛知時計電機は他17社とともに2003年7月から2004年7月までの間に行われた東京都水道局発注の水道メータ買入れに係る競争入札に、いわゆる談合を行っていたとして公正取引委員会から排除勧告を受けた。また、各社に対し審決に応じて東京都は損害賠償請求をしている。競合する企業のオーナー社長であり、大株主、不正を糾弾するメディアの人気キャスターとは、いかにも不思議な構図である。