ワタミの基幹チェーン「語らい処 坐・和民」三軒茶屋駅前店
が、食中毒で営業停止なのに「設備改修」という張り紙を出し
ていたと、報道されている。
世田谷保健所の生活保健課によると、9月10日に出された宴会料
理が原因で、ノロウイルスによる食中毒の症状を訴えた客が20
人いた。同13日の立ち入り検査では店内から検出できなかった
が、複数の食事グループから同じ遺伝子配列のウイルスを検出し
たため、同30日から7日間の営業停止処分にしたということで
ある。一時閉店を知らせる店頭の張り紙では、そのことには触れ
ず、別の理由を挙げていた。張り紙写真によると、「設備改修
および店内清掃」というのが理由になっていたとのことである。
ワタミの公式サイト上では、同日付で世田谷区からの行政処分に
ついての文書を出し、店名を挙げたうえで、処分を厳粛に受け止
め、再発防止などに努めることを明らかにしている。それにも
かかわらず、店側が店頭に出した張り紙で食中毒に触れなかった。
食中毒が発生すれば、当然客足は遠のくであろうし、300円前後
の低価格競争による客の奪い合いの昨今、一旦離れた客を呼び
返すのは容易ではないだろう。それ故のワタミ本社の判断であ
ろうか。
メディア関係者から同店に取材すると、店長は「私の方からはお
答えできませんので、本社に連絡して下さい」とのことだったと
いう。ワタミフードサービスでは、取材に対し、広報担当者が
外出中として回答がなかったとのことである。明らかに、本社の
指示と責任回避をうかがわせる。
ワタミでは、本年2月に広島県東広島の「坐・和民」で客14人が
集団食中毒になった。「坐・和民」は、1月にも神戸市内の店で
14人の集団食中毒を出している。店舗の衛生管理に問題がある
のではないのか。
ワタミが経営する介護施設の元職員によると、職員の制服支給が
2枚のみで、制服の洗濯が自己管理(各自自宅で洗濯する)である
という。飲食店舗は、より酷い衛生管理状況であることが推測
される。2006年には、大阪の複数店舗でアルバイト賃金の不払い
が問題となった。
渡邊美樹会長は、メディアの露出が非常に多い経営者である。
顔を知らない国民は、いないのあろう。講演では、「うまいもの
を食べてみんなに笑顔になってほしい」という意識から居酒屋
チェーンをつくったと強調されるようである。「客の笑顔が見れ
るのなら、自己犠牲してでも頑張るのが当然」というという考え
で、「自分もそうだから世間のみんなもそうだ」という感覚で
経営をしており、従業員に苦を強いる、取引先にも苦境を強い
て、利己的な考えを満足させるという指摘もある。経営を引き
受けた郁文館夢学園でも、教職員とのトラブルが絶えないという
報道もある。今後、この稀代のベンチャー経営者、渡邊美樹氏
の実像に迫りたい。