大手スーパー「西友」への株式公開買い付け(TOB)をめぐるインサイダー事件で、東京地検特捜部は9日、同社社外取締役だった妻から得た未公開情報でインサイダー取引をしたとして、証券取引法(現金融商品取引法)違反の罪で、ファッション流通情報会社「東京ファッション・インスティテュート」(東京都渋谷区)の尾原嘉道代表取締役(73)を在宅起訴、法人としての同社を起訴した。
起訴状などによると、尾原被告は平成19年10月1日と4日、米小売り世界最大手のウォルマート・ストアーズ側が西友を完全子会社とするためTOBを行うとの情報を、社外取締役の妻から入手。同月22日のTOB公表前に、西友株を会社名義で19万9千株を約1734万円で、自分の名義で6万9千株を約602万円で、買い付けたとされる。尾原被告は公表後に売り抜け、約1300万円の利益を得たという。
同法は、未公表の重要情報を職務上知った会社関係者と、会社関係者から直接情報を得た「1次情報受領者」によるインサイダーを規制。情報を伝えただけでは違法ではなく、株取引を知らなかった妻は立件されず。アパレル業界のカリスマ女性経営者の家族の不正であるが、「他山の石」であろう。