幻冬舎「7843」 社長側のTOB成立 
        MBO全株取得は不透明
 
ジャスダック上場の出版社、幻冬舎は12月29日、MBOを
目指して実施した見城徹社長側のTOB(株式公開買いが成立
したと発表した。見城社長が代表を務めるTKホールディング
ス(東京都千代田区)が議決権ベースで58.1%に当たる
1万5968株を確保した。買い付け予定数の1万3725株
を上回る応募があったという。
投資ファンドのイザベル・リミテッド(英領ケイマン諸島)も
同社株を買い進めて35.7%を取得しており、66.7%以
上を確保しなければならないMBOが実現するかは不透明であ
る。
幻冬舎は来年2月に臨時株主総会を開き、既存株主に普通株の
代わりに全部取得条項付種類株を割り当ててMBOを完了させ
、上場廃止を目指す計画だった。しかし、イザベルは重要案件
を否決できる3分の1超の議決権を保有。イザベルが反対すれ
ばMBOは失敗に終わる。
幻冬舎については、21年5月19日、元幹部社員の不正行為
(資金の私的流用)について、「民事上の損害賠償請求を行い
債権回収に努めていく」と謳っているが、その後の情報開示は
一切行われていない。イザベラの株価取得が、同社のコンプラ
イアンスの脆弱さを指摘する目的でないことを、老婆心乍ら願
いたいものである。今後の監視を続けて行きたい。