DeNA(2432)
業績絶好調のDeNAで、相次ぐトラブルが発生している。
同社が主宰する携帯ゲームサイト「モバゲータウン」などで人
気のソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」で、ゲーム内で使う
武器などのアイテムをだまし取られるトラブルが多発。
怪盗ロワイヤルのプレー仲間に交換を持ちかけられ、1万円相
当のアイテムをだまし取られた千葉県の主婦(27)は悔しが
る。怪盗ロワイヤルは、自分の分身のキャラクター(アバター)
を育成しながら、武器などのアイテムを集めたり、仲間を募っ
たりして、他のユーザーと宝物を巡って闘う人気ゲーム。
他のユーザーにアイテムを贈ることができる「プレゼント機能」
もある。主婦はこの機能を使って昨年10月、プレー仲間とア
イテムを交換することになり、まず自分のアイテムを渡したと
いう。ところがその直後、相手は特定のユーザーからのメール
やコメントを拒否できる「ブラックリスト登録」を悪用し、主
婦との通信を一方的に遮断してしまったという。
アイテム売買が原因となって、ゲーム内で中傷を受けるケース
もあったという。福岡県の30代男性は昨夏、知人に頼まれ、
アイテムをネットオークションに出品し、計約11万円で売っ
たところ、その直後からサイトで自分のページに「早くアイテ
ムを返せ」「詐欺師の仲間か」といった中傷メールが殺到。結
局、男性はゲームをやめてしまった。男性は取材に対し、「出
品したのは、知人が『交換』と称してだまし取ったアイテムだ
ったようだが、自分もだまされただけ」と話している。
アイテムはゲーム内の仮想通貨で購入できるものだが、インタ
ーネット上のRMT(リアル・マネー・トレード)では現実の
通貨で高値売買されており、識者からは「原則無料の携帯ゲー
ムは子どもの利用者も多く、運営者側が対策を急ぐべきだ」と
の声も出ているが、今の時点で、会社側がなんらかの対策を講
じてはいない。
同社については、昨年12月、取引先のゲームソフト開発業者
にライバル社と取引する場合はゲーム市場に参入させないなど
不当な拘束をしたとして公正取引委員会が、独占禁止法違反
(不公正な取引方法)の疑いで、同社と関係先を立ち入り検査
したばかりである。
関係者によると、同社と取引がある約100社に対し、自社と
同様のサービスを展開する「グリー」(東京都港区)にゲーム
ソフトを提供する場合は自社との取引を打ち切るなどと口頭で
話し、グリーとの取引を妨害した疑いがもたれている。実際に
取引が打ち切られたソフト開発業者もあった。
最近では、タレントの木梨憲武さんが出演するCMで有名とな
ったゲーム「怪盗ロワイヤル」などが人気を集め、会員数を急
激に伸ばし、20年には1000万人を突破した。
同社は平成11年設立、モバゲータウンの大ヒットで現在は資
本金43億円、東証1部にも上場している。昨年3月期の売上
高は481億円、当期利益は117億円と絶好調であった。
ただ近年は携帯電話向けのゲーム市場で顧客獲得争奪戦がグリ
ーとの間で激しくなっていた。DeNAの行為は、独禁法が定
める拘束条件付き取引の具体的な行為類型のうち、特定の者と
取引しないことを要求する場合など「取引相手方の拘束」や、
競合品の製造販売を禁止する場合など「その他相手方の事業
活動の不当拘束」に抵触する可能性があると見られている。
南場社長は「違法性があるとは認識していない」と語っていた。
急成長したIT系企業の過信ではないことを祈るのみである。