東電副社長会見
福島第1原発の事故で、東京電力の武藤栄副社長(原子力担当)
は21日、東京都千代田区の本店で記者会見し、「ご迷惑をお
掛けし心からおわび申し上げます」と謝罪した。
会見中、廃炉について質問されたが、「まずはこの状態につい
て、きちんと収束させて原子炉を安全な状態にするのが一番の
目的だ。そうしたこと(廃炉)について、申し上げる段階では
ないと思います」と答えた。
また、米国が福島原発に冷却剤を送るといっていたが、断った
との報道があったがとの質問に対しては、「対策本部も政府と
一緒になって、東電だけでなく、政府、関係省庁あげて事態の
収束にあたっている。関係省庁の大変な協力頂き、全体(の作
業)を進めているところだ」と、質問の趣旨にまともに答えて
おらず、事実であろう。
原発の廃棄費用は、日本原子力発電東海原子力発電所の廃炉作
業約930億円と、新型転換炉実証炉「ふげん」の試算はとし
て、約千百億円(内訳は1. 解体費用 約300億円、2.
伴って生じる廃棄物の処分 約400億円 3. 施設撤去まで
の維持費 約数百億円 4.運転中に出た低レベル放射性廃棄物
の処分 約140億円)から推測すると、一基最低1000億円
程度は下らない。一部メディアによると、2000億円が必要
であるとも言われている。福島第一原発6基全体で、6000
億円以上の廃棄費用が必要となる。海水注入を渋った理由はここ
にある。
今後、避難地域住民への補償、農産物被害、土壌汚染、海洋汚
染、漁業被害等への補償、福島県全体への補償問題が生じてくる。
これも数千億を超えるであろう。従って、東電の特別損失は、
1兆円を超え、2兆円近くに達する可能性がある。とても単独
企業としては負担できる金額ではなく、一時、国家管理による
再建となる可能性が高いと指摘したい。