「東電株」崩落
東京電力の株価は31日終値で466円1964年4月以来
47年ぶりの安値となり、震災前との比較で約74%の暴落を
記録した。折しも決算期の3月末とあって、東電株の大株主と
なっている企業は損失処理を迫られる恐れもある。
原発事故の稚拙な処理が長期化する懸念が広がっているほか、
周辺の農家などへの賠償額が数兆円規模となる恐れ、さらに
菅政権の閣僚が「一時国有化」に言及したことも投資家の売り
を誘った。
震災前の10日終値は2153円だったが、20日足らずで
500円台に下落。51年12月の上場来安値393円に迫る
歴史的な安値水準となっている。
この暴落で痛手をこうむるのが大株主だ。第一生命保険が保有
する東電株約5500万株の評価額は、昨年3月1日~31日
と今年3月1日~29日の終値の平均値で比較すると、約530
億円のマイナスとなった。同様に日本生命保険、みずほコーポレ
ート銀行や三井住友銀行も大幅に評価額を減らしている。
複数のゼネコンも東電株を保有しているほか、企業以外でも東京
都や東電の従業員持株会も評価損が拡大する懸念がある。
電力株は高配当で景気に左右されないことから「ディフェンシブ
銘柄」と呼ばれ、安定しているのが魅力だった。東電株主は、年
度末に巨額損失を計上するハメになり、気が気でない日々が続く。