東京地検 富士バイオメディックスを強制捜査へ 粉飾容疑
名古屋証券取引所セントレックス市場に上場していた医薬品開
発支援会社「富士バイオメディックス」(東京、民事再生手続き
中)が、売上高を約15億円水増しした疑いが強まり、東京地
検特捜部は、旧証券取引法(現金融商品取引法)違反(有価証券
報告書の虚偽記載容疑で、近く旧経営陣らの強制捜査に乗り出す
方針。同社は虚偽の財務情報に基づく第三者割当増資で約48億
円を調達していた。
同社の旧経営陣らは2007年5月期、複数の企業と架空取引を繰り
返して売上高を計上する「循環取引」などの手口で、売上高を約
182億円と偽り、実際には赤字だった経常損益を約8億円
の黒字とした有価証券報告書を関東財務局に提出した疑いが持たれ
ている。長年にわたって売り上げや利益の水増しが常態化する一方
で、売掛金や仮払金などの不良資産が累積。不健全な財務体質を
きっかけにした監査法人の調査で不正経理が発覚することを恐れた
旧経営陣は、、医療法人の買収を利用して資産状況を良好に見せる
工作を提案。旧経営陣は、実際には10億円弱で買収した4つの
医療法人を、約70億円で買収したように装い監査法人の目を欺いた
という。
虚偽の有価証券報告書を提出した後の08年2月、同社借入金返済な
どに充てるため第三者割当増資を実施。当時筆頭株主だった東京の
医薬品卸会社が約22億円分の新株を引き受けたのをはじめ、
計27の法人・個人が新株を引き受けた。虚偽の有価証券報告書などに
基づいた新株募集は、金商法が禁じた偽計取引に当たる可能性があり、
特捜部は証券取引等監視委員会と連携し、不透明な新株発行に至る詳
しい経緯についても解明を進めている。同社は、05年8月、名証セン
トレックスに上場した。しかし、未収金回収のめどが立たなくなった
ことから、08年10月、総額約218億3千万円の負債を抱え
民事再生手続きを申請。翌11月に上場廃止となり、昨年1月、監視
委が強制調査していた。