【東マ3041】ビューティ花壇の胡散臭さ

 少子高齢化社会の深化によって今後需要が拡大すると思われる葬祭ビジネス。業界は今後も拡大はすれど衰退はない。東証マザーズに上場する「ビューティ花壇」は葬祭業界に身を置く新興企業である。、生花祭壇の企画提案、生花の卸売などを主力事業とする。
 しかし同社の実態は、葬祭という神聖イメージが強い業界、「ビューティ」を冠する社名とは裏腹に、胡散臭い話が絶えない企業である。
■台湾での不祥事を隠ぺい
 ビューティ花壇は今年5月17日、台湾子会社の「美麗花壇」を解散すると発表した。美麗花壇は2006年に台湾の葬祭最大手企業の「龍巌」との合同出資により設立された。当時ビューティ花壇の社長だった小田敬二は、美麗花壇について次のように述べている。
<台湾では、もともと「日本式は良いものである」という認識が強く、日本文化に対しても好意的な国柄でありますので国内同様に生花祭壇事業を展開し「日本式祭壇」は好評を持って受け入れられております。また、現在当社では生花輸入の仕入れ比率を大幅に増加しており、その現地調達拠点として、生花卸売事業も行っています。その結果、前期には設立後初めて若干の黒字化となりました。また、新竹地区に拠点を新設する予定です。業務提携先である台湾最大の葬儀ビジネス業者龍厳人服務股フェン有限公司からの紹介が得られる予定であり、3年目をも変える来期には更なる黒字化を見込んでいます。>
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0910&f=business_0910_100.shtml&pt=large
 実際に美麗花壇は黒字化した。ところが、ビューティ花壇は昨年9月に「龍巌」との業務提携解消および合弁契約解除を発表する。理由は「龍巌」が日本のユー花園と合弁会社を設立したことによる競業防止回避義務違反としている。5月17日に発表された解散の理由は、昨年9月のトラブルが解決しなかったため、ということになっている。
 しかし実際は「龍巌」との関係は昨年9月より前に別の理由で破綻している。日本から送り込んだ合弁会社の役員が、背任等の罪で龍巌から2011年に刑事告発を受けていたのである。花の値段をちょろまかして日本に利益が行くようにしていたというのが大筋である。
 この問題に対するビ花壇の現経営陣の対応はお粗末極まりなかった。台湾当局の聴取を受けるべきところを、当事者の役員たちを日本に引き帰らさせてしまった。これにより現地当局の捜査は中断し、ビ花壇には現在も台湾で刑事被告人となるべき人間が幹部を務めているのである。
 東証の規則では、海外子会社の法的問題については開示すべきとされているが、ビューティ花壇はこうした問題は隠し続けてきた。同社が発表しているユー花園との問題は、自社の問題を隠ぺいするための口実と思われる。
■胡散臭さの元凶
 ビ花壇は元々熊本の会社であるが、東京に進出し、上場にこぎつけた。ところが昨年、株主総会で熊本にトンボ返りすることを決議する。営業成績を見ても、関東・東北のほうが売上が伸びているのに、理解に苦しむ経営判断であった。この期にビ花壇は熊本の建設会社を買収する。生花卸売がなぜ建設をという根本的な疑問はさておき、この会社の株主が熊本の政界の有力者だった。ビ花壇の闇は深い。このほか資本金1万円の会社を3000万で買うなど太っ腹なことをしでかしたりする。
 胡散臭い企業には胡散臭い経営者がいるものである。
 こうした胡散臭さは現在の社長、三島美佐夫が社長に就任してから始まった。3月29日のIRで同社は訴訟に関する発表を行っているが、その当事者である小田敬二、高山浩司は二人とも元ビ花壇経営陣であった。
 熊本の葬儀屋であった三島葬祭を上場企業にまで育て上げたのは、三島ではなく小田であった。小田を慕っていた元自衛官の面々の頑張りで、株式を公開。筆頭株主の三島も上場益に与ったはずだ。ところが、三島はこの小田を株主総会で追放し、自ら代表となる。追い打ち的に、小田とビ花壇を去って行った従業員たちの再就職先(同業者)に訴訟を提起したわけだ。
 三島氏の社長就任から、ビューティ花壇の経営がゆがみ始めたといえる。昨年の株主総会で、株主から追及を受けても、逃げの答弁に終始した。その証拠に、前々期の株主総会は動画を閲覧できたのに、前期総会は動画も質疑も掲載されなかった。その後に、すべての総会の動画や質疑を見ることができなくなった。
 要するにこの会社はガバナンスに問題があるわけだ。業績はどうだろうか。同社の第三四半期を見ると、売上高は前期比20%増、営業利益も65%増加している。ただセグメントでみると本業の生花祭壇事業は減収である。本業は三島が代表に就任して以降、凋落気味である。今後、どのように推移していくか、注目である。