【JS 8705】岡藤ホールディングスは大丈夫なのか

 ジャスダックに上場している金融業「岡藤ホールディングス」は今期、赤字予想だったが黒字決算となった。同社は20年度から赤字が続いていたが、5期連続赤字は避けられたようだ。同社はトラブルの絶えない企業である。現在抱えている訴訟は19件で、ほとんどは先物被害に関するものである。「岡藤にだまされた!」という消費者は多いし、実際に裁判で同社の過失は認められているようだ。また経営に関しても問題がある。『現代ビジネス』でジャーナリストの伊藤博敏氏が書いている(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35888)が、元会長の加藤雅一氏へ「役員長期貸付金」名目で4億円ほどを貸し付けていたものが、加藤氏が自己破産したことにより取り立て不能となったのである。
 『現代ビジネス』で書いてある内容を見ると、岡藤から借りた金は女や遊びに使ってしまったようだ。上場企業の創業者などにありがちだが、「役員退職慰労金」だとか今回の「役員長期貸付金」など、いわば”恩返し”のような名目で金を出すことは往々にして悪い結果を招く。岡藤だけでなくすべての企業に言えることだが、確かに企業を大きくした功績は素晴らしいものであることは認める。しかし様々な理由があって辞めたのだから、会社に執着するべきではない。岡藤は今回の貸付へに対して加藤氏の不動産、また母名義の不動産と株を担保としているので、新たに損失がないと言っているが、創業者に依存しがちな会社の現状についてはしっかりと総括をするべきだろう。
 冒頭に述べたが、同社は今期、黒字化した。黒字化の要因としては、役員報酬や人件費などの大幅な削減に対して、営業収益がそこまで影響を受けなかったことが主な要因と思われる。また、赤字を垂れ流していた海外投資事業の「岡藤ビジネスサービス」を切り離したことも一因だろう。岡藤ビジネスサービスは、昨年度の売上は一万五千円しかなかったようだから、馬鹿らしいにもほどがある。また孫会社の上海と香港の投資会社は売上がゼロ。深センの投資会社もスズメの涙ほどの売上で赤字だった。ここまで来ると詐欺的と言わざるを得ない。岡藤は同社を上海の肉製品加工業者にわずか8000円で売った。
 問題は山積している。しかし幸いなことに長年続いてきた赤字からようやく脱した。来期からは元顧問が代表取締役会長に就任するという。いまどき、二人代表制とは古風だが、同社経営が根本から改善されることを期待したい。