この企業、過去にも何度か書いてきたが、あまりの商号変更の多さに忘れるている方も多いのではないか。

社名の変遷は高杉建設、1996年キーイングホーム、2004年千年の杜、2008年東邦グローバルアソシエイツ、2010年に現社名となっている。

そんなハコ企業が未だに健在しているのは何故なのか。先般、書いた「3777 ジオネクスト」よろしく、現在は太陽光発電が主力となっている。ハコ企業は太陽光がお好きなようだ。

懐かしさもあるので、ちょっとおさらいをしてみよう。2008年、千年の杜と称した時代、ロシアで人工島の開発を構想。堂々とIRをぶち上げ、株価19円から500円まで急騰する。おちは、もちろん撤退だった。

そして、東邦グローバルアソシエイツと称した時代、新株予約権の行使価格は1.2円であった。

ハコ企業として永らえて来た「現クレア」は、それでも倒れなかった。大きな要因は持ち株会社であろう。下に子会社を数社ぶら下げれば、ホールディングスカンパニーの出来上がりである。そして、あの手この手で新株を発行すればいい。

手法は過去と変わらず、「第三者割当」である。資金繰りの為、第23回新株予約権発行をEVO FUNDに割り当てた。(平成27年6月29日にIRされている。)資金調達の額、2,372,805,300 円 なり。行使価額は41円であった。

そして今回、この割り当てた予約権をEVO FUNDは一部を譲渡した。譲渡先は「ゴッドリーフ投資事業組合」とある。

ちなみにEVO FUNDは「3777 ジオネクスト」の新株予約権も保有中である。EVO FUNDは340個の新株予約権を受け5個を行使し、残335個中、200個を「S&BROTHERS PTE.LTD 」に譲渡、さらに別口に35個を譲渡。残り100個となる。ジオネクストは現在、四季報で見る限り3期連続の赤字であり、利益剰余金がマイナス、キャッシュフローもマイナスの企業なのだが、それでも投資をする企業があるのだから恐ろしい。しかも、2015年12月期もきっと赤字になり、4期連続となる公算が強い。

このようなハコ企業の新株予約権を受け、投機的に企業に金を投資する企業もあれば、ババをひく(新株予約権の譲受)ものもいる。ハコ企業の世の中は、こうして金が回っている。これが、ハコ企業経済のババ抜きゲームというものである。そして最後に引いたものが地獄の1丁目1番地で彷徨うことになる。

さて、今回EVO FUNDから「クレア」の新株予約権の譲渡を受けた「ゴッドリーフ投資事業組合」は純投資と言っているが、逃げ切れるのか。地獄の1丁目1番地に足を踏み入れることのない様に祈るのみだ。ちなみに「クレア」の今期の通期予想は営業利益が△94百万円、経常利益△142百万円、当期純利益△144百万円だ。もっと言えば、赤字幅拡大も視野に入れなければならない様な状況なのだが、吉と出るか凶と出るかは「ゴッドリーフ投資事業組合」の心がけ次第。一日も早く、次の順番の人にババを引いてもらうことだ。

しかし、驚愕なのは資金繰りの手練手管と投資先の発掘である。「クレア」には「資金繰りの神」が宿っているのかと思わせる。これからも倒れそうで倒れないでほしいものだ。ここまでくれば感嘆と絶賛の境地だ。

<敬称略>