村上世彰氏が4社の保有株を手放し、保有銘柄がゼロとなった。保有銘柄は「黒田電気」、「エクセル」、「三信電気」、「アコーディア・ゴルフ」の4銘柄。

これらは、村上氏が「売り崩し」、「終値関与」にて株価操縦に問われた、一連の証券取引等監視委員会の強制捜査を受けてのことと思われるが、本当に株価操縦であったのか。また、これにより、村上氏の長女が運営する投資会社の保有割合が上昇している。

強制捜査の嫌疑は「売り崩し」、「終値関与」にて株価の引き下げを意図的に行い、その下落を利用し空売りを仕掛けて利益を得たという見立てだ。

しかし、このことが具体的に何が違法なのか筆者にはわからない。例えば「終値関与」だが、引けに大量の売りが出ることはままあることである。ただ、直前の買い気配(売り気配)よりも高い(低い)値段で約定させることによって値を吊り上げる(引き下げる)などの行為を多量にもしくは反復的に行う行為が他の投資家の注文を誘引する目的をもった「相場操縦」になる可能性があるということ。

しかし、村上氏が行ったという売り注文であるが引け間際に大量の株を成り行きで売れば、直前の終値よりは、結果として約定額は低くなるだろう。これは、通常の売りではないのか。また、空売りも違法ではない。

これが相場操縦と言われるなら、ヘッジファンドなどは日常茶飯事のことであり、これらのすべての終値を見直す必要がある。

ただ、いつの世も「目立つ行動」は目を付けられる。村上氏は、自身での活動ではなく、粛々とターゲットを狙えばよかったとも思う。村上氏は人身御供にされたのだ。

この村上ショックを世に知らせればインパクトは大きい。それこそ株に群がる悪者をけん制してのものだろう。

手がけた株の売却程、口惜しいものはない。