自民党内で泥仕合をみせた先の東京都知事選。自民党推薦の増田寛也を党議拘束を撥ねつけて無所属で制したのは、既知の通り小池百合子であった。その小池百合子を政治生命を賭けてまで応援にまわった造反組の先鋒、若狭勝が予想通りに衆院東京10区の補選で快勝した。自民党は、この補選で議席確保の手立てとして、若狭勝を自民党公認とした経緯がある。

過去に造反を許すような甘さを見せなかった自民党だが、風向きは小池都知事にあったがゆえの判断であったのであろう。

しかし、本当にこれで良かったのか。一度許せば、造反する者は増える。勝てば官軍負ければ賊軍だが、勝った者は許すーでは党の弱体を生む。

一敗しても二勝すれば帳尻は合う。時間を置いて東京10区は取り戻せばいい、これぐらいの気概をみせてほしかったものである。

小池都知事の選挙区であった豊島区の造反区議も若狭の勝利に万歳三唱。その理由は、都連の下村博文会長が選挙前に離党勧告処分を軽減する可能性を示唆したからだ。豊島、練馬の区議で造反組は7人。自民党も党議拘束が甚だしく瓦解すれば取り返しが付かなくなる。

また、頭の痛い問題も浮上。小池都知事が主宰する「希望の塾」が始動、30日に開校する塾の応募者は4000人超といわれる。受講料は1人5万円だそうで、全員の入塾で2億円を集めることになる計算。金と信者を手にした小池都知事の深謀遠慮は何なのか。自民党は、この事態をよくよく考慮することだ。庇を貸して母屋を取られるでは話にならない。

<文中敬称略>