大阪証券取引所ナスダック・ジャパンの第一号銘柄として華々しく上場したデジタルデザイン代表取締役の寺井和彦が、突然に経費利用が不適切だと糾弾され、代表取締役の増員が発表されたのが、7月26日のことであった。

そして、同日、矢継ぎ早に第三者委員会の設置をし、過年度の調査範囲の拡大をして事実関係の究明の為、必要な措置を実施すると発表した。誠にスピーディで称賛されるべき行動である。しかし、この時点の内容は立替清算の総額672,388円に対し、疑義があるとの内容であった。

疑義があれば正すのは当然ではあるが、金額が少額であり、最初から寺井と役員の間で、もめごとがあったのではないかと勘ぐってしまう。これは、寺井降ろしが先で、不正を探したというのが本当のところではないか。それを垣間見れるのが、昨日8日の適時開示である。

寺井がデジタルデザインの取締役辞任と関連会社の代表取締役及び取締役の辞任を申し出たが、会社側に到着している辞任届は返送された。

返送の理由は、関連会社の1社は3名の取締役が必要で、寺井が抜けると取締役の数が足らないこと、1社は寺井が唯一の取締役であることから、後任の代表取締役が決定するまで、代表取締役としての責務を負って頂く必要がある、としている。

また、寺井は自身の持つ株式を第三者に譲渡する旨も伝えているが、会社側は、「株式取扱規定」に従い確認を行っているとして、「株式等の内部者取引の管理等に関する規則」第13条(1)において、役員が自社株式の売買をおこなう場合には、取締役会の許可を受けるものとすると定められており、寺井は事前の許可申請を行っておらず、善管注意義務に違反するおそれがあるとし、寺井による株式譲渡について実行を阻止するべく大阪地方裁判所に違法行為差止仮処分を申し立てるとしている。

まだ続き、寺井は未公表の重要事実を知りながら、株式譲渡契約を締結したものであり、契約がインサイダー取引に該当する懸念があるため、証券取引等監視委員会の情報提供窓口へ通報したとある。

物々しい、開示内容である。会社側は、株主に対し考慮が必要ではないのか。この内容を見る限り、寺井憎しで子供の喧嘩のような開示の内容である。

例え憎いとはいえ、喧嘩腰の開示を見た株主が、どう思うのかを考えなければならない。

これを見たとき、本質は「もっと、ヤバいことにあるのでは?」と思う株主はいたはずだ。デジタルデザインが、疑惑の多いリミックスポイントの提携先だから、そう勘ぐってしまう。

後になって、実は…となれば、取り返しの付かない惨事が待ち受けている。

結局、経費利用の不適切な額は、1,134件で合計4,665,298円だそうである。内訳の勘定科目は、旅費交通費、接待交際費、会議費、通信費、消耗品費、事務用品費、新聞図書費、ガソリン費、その他などなど。

筆者の感想は、第20期の不備+不当の小計で「”通信費82円”」という金額が不当だとする内容に、憎しみが裏打ちされていること、接待交際費が金額から言えば、会議費にしたなって微笑ましくもあること。寺井の接待交際費用は、18期から20期の3年間の合計金額が292,941円と多いか少ないかは、経営者であればわかるはず。ちなみに、現在の中小企業ですら(資本金1億円未満)の年間の接待交際費の上限は800万円だ。(国税庁・損金不算入額の計算より)恨み節もここまでくれば、相当なものであろう。

<文中敬称略>