私にとって非常に懐かしい企業であると言えば、現経営陣から「何故?」といぶかしがられるだろう。

それは、IPO前のことであり、代表取締役がM氏だった時代のことである。

M氏とは、一緒によく六本木で飲んでいた。その時のメンバーは故田中森一氏や大西省二氏、等々(ヤバすぎて書けない)、一癖も二癖もある有名人が多かった。

田中森一氏は元東京・大阪両地検の特捜部検事で、後に弁護士に転身した。氏は2000年に石橋産業を舞台に200億円にも及ぶ巨額の手形詐欺事件で、許永中氏とともに東京地検特捜部に逮捕された。氏の書いた「反転-闇社会の守護神と呼ばれて」はベストセラーになった。因みに、氏が刑務所から出てきてから程なく、私はANAコンチネンタルホテルで再会したのだが、癌の闘病中であったようで痩せていた。痛々しい氏の変貌ぶりに寂しさがこみあげてきたのを覚えている。2014年11月に亡くなった。気骨ある御仁であったので残念でならない。

大西省二氏は田中森一氏が弁護した人物で、元部落解放同盟関連の組織幹部で、日本の国税局を震撼させた人物である。彼は大阪国税局の幹部から一般職員に至るまで100人もの人間を接待漬けにした贈賄容疑で逮捕されたが、田中森一氏の御蔭で、贈収賄事件・脱税事件とも何故か立件を見送られた。

私の知人達だが、M氏は彼らを分け隔てなく接してくれた。またそのイケメンの容姿から女の子によくモテた。

思い出話でズレてきたので、話を戻そう。昔からシリコンスタジオを知っていただけに、今回、目に留まってしまったわけだ。

それは、「継続前提に疑義注記」がついてしまい、なんと投資不適格企業の烙印を押されているではないか。

2016年度11月期、2017年11月期と、2期連続しての営業利益の時点で赤字になるという転落ぶりである。また、営業キャッシュ・フローについても継続的にマイナスを計上している。

今期は黒字に転じると会社側は発表しているが、直近の3ヶ月(2017年12月-2018年2月)の第1四半期の業績の推移をみると、前年同期比で赤字が拡大。売上損益率も前年同期の-20.3%から-33.2%に大幅に悪化している。

非常に危惧するが、会社側の説明では「当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、前年同期比で減収減益の結果となりました。これはコンテンツ事業において、前年度にゲーム2タイトルを譲渡したこと、および新規タイトルに係る開発費用の先行負担によるものであり、概ね期初計画通りの着地となりました 」としている。

会社側のいうように、期初計画通りならよいのだが、長年にわたり、企業衰退のパターンを見て来た私には、シリコンスタジオに衰退のパターンがみてとれるのである。

シリコンスタジオにはセグメントが3つある。

①開発推進・支援事業 ②コンテンツ事業③人材事業である。

このうち、②コンテンツ事業は酷い成績で28年度11月期から連続赤字更新中である。①開発推進・支援事業も散々な為体な成績で2期連続の赤字。唯一、伸びしろとも好調なのが③人材事業である。連続的に黒字であり、急速的に伸びてきている。

選択と集中でいけば、人材事業を伸ばし、多額の赤字を出しているコンテンツ事業に見切りをつけ、開発推進・支援事業では採算性を考慮した、案件獲得を目指しながら育てて行くのが王道ではなかろうか。

事業の衰退は、あからさまにダメな事業への思い入れと、先を予見するとが出来ず、競合他社に打ち負かされ、後塵を拝することである。

現代では、技術革新のスピードが速すぎて咄嗟には事業に乗れない場面が出てくる。ならば「コラボ」して、お零れを頂きながら走るのが上等手段になるのではないか。

お零れの塵も積もれば山となるのである。如何かな寺田健彦社長。