メルシャンは養殖魚用の水産飼料事業から撤退すると発表した。今年5月、架空取引により利益を水増しする循環取引が発覚。飼料価格の低下も続いていることから事業継続は難しいと判断。事業を清算するか、他社に事業売却する方向で調整する。
メルシャンは1975年、水産飼料事業に参入。ワイン製造などで使用した醸造アルコールのカスを転用し、2007年12月期に90億円の売上高があったが、競争激化で09年12月期は50億円まで減った。撤退方法は年内にも決めるとみられる。04年から7年にわたった循環取引は、担当者らによる利益かさ上げ(合計65億円強)がほぼ常態化していたとのことである。
メルシャンの歴史は、1877年(明治10年)に日本最初のワイン会社である「大 日本葡萄酒会社」が設立されたことに遡ることができ、現在では日本のワインの リーディングカンパニーとして認知されている。1935年(昭和10年)、味の素本舗株式会社鈴木商店(現在の味の素株式会社)の 社長で あった鈴木忠治が昭和酒造株式会社(現在のメルシャン株式会社)を設立したという名門企業である。かような企業が、循環取引に手を染めるというのは循環取引自体が、日本の「商慣習」となっていると断じてよいのではないか。改めて「循環取引」「架空売上」について論じたい。