循環取引とは
・複数の企業、当事者が互いに通謀(つうぼう)し、商品の転売や業務 委託などの相互発注を繰り返すことで架空の売上高を計上する取引手法のこと。
・商品やサービスそのものは最終消費者・需要家に販売・提供されず、当事者・業者の間で転売が繰り返されているだけであり、本来の意味での売上(=消費)は発生しない。
・なお、商社や卸売業者では、一般に商品在庫の多寡を背景に、業界仲間内で保有在庫を転売し、在庫と資金(キャッシュ)の保有比率を適正に維持するための商取引が普及している。
・そのため、一般に商品の転売行為そのものが違法・不当として認識されているわけではなく、それを取り締まる法的根拠は無い。
・循環取引では通謀し伝票をやり取りするだけで売上高が不正に操作できることから、企業の成長性を高いように仮装して金融機関の融資を容易にし、あるいは債券や株式の新規発行を有利に導く目的で行われることがある。
・この場合は融資関連の調査資料や有価証券報告書に対する虚偽記載の容疑として立件・摘発の対象とされる。
循環取引が表面化した大手企業の事例と結果は下記である。
エンロン             → 破綻
メディア・リンクス       → 破綻
NECエンジニアリング
IXI               → 破綻
加ト吉(現・テーブルマーク)    → JTの子会社化
富士通関西システムズ
ニイウス コー          → 破綻
ジーエス・ユアサ ライティング
(ジーエス・ユアサ コーポレーションの子会社)
伊藤忠商事          
広島ガス開発(「広島ガス」の子会社)
古河エレコム(古河電気工業の子会社)
ザ・トーカイ
メルシャン            → キリンHDの完全子会社化
信用リスクを伴い、企業の存続を左右する割りに合わない取引ではあるが、後を絶たない。売上高増大のプレッシャーが、担当者を、駆り立てるのであろうか。役員も知ってるケースも多いとは思うが、トカゲの尻尾切りで終わるのが常である。ああ無常。