日本企業では、サービス残業が常態化し、休日も強制的に返上
させられているケースが多い。労働基準法の規定と罰則につい
て振り返ってみたい。
●労働基準法 第5条
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当
に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制し
てはならない。
上記の規定に違反した者は、これを1年以上10年以下の懲役
又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
(労働基準法 第117条)
パワーハラスメントによる労働の強制は、これに該当する。
●労働基準法 第32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を
超えて、労働させてはならない。
●労働基準法 第35条
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなけ
ればならない。
上記の規定に違反した者は、6ヶ月以下の懲役または30万円
以下の罰金が科される。
●労働基準法 第37条
使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長
し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の
労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割
5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければならない。
上記の規定に違反した者は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下
の罰金が科される。
●社長の責任
役員や管理職等が労働基準法違反を行ったときは、社長も一緒に
罰金刑が科される。
社長が労働基準法違反を知ったにもかかわらず、必要な対応をしな
かったり、自ら労働基準法違反を指示した場合は、社長も同様に罰
せられる。