迂回融資について
不正融資の一つで、銀行などが資金を融資する際に、融資額が
信用供与の限度額内であるように見せかけるため、間接的に融
資を行うことである。
本来融資を実行したい相手になんらかの理由が有り融資が困難
な場合に、間にダミーとなる融資先を設け、迂回をさせて本来
の融資先に融資を実行する。不正融資である。銀行法には大口
信用供与の規制を明記しているので、これを掻い潜るために、
行われることが多い。罰則は無いものの、破れば、法令違反
となる。銀行内部では、当然、懲罰が課される。
以下、最近の迂回融資の事例である。
●日本振興銀行。取引先間で迂回融資、振興銀/規制逃れや
「飛ばし」 2010/09/10 22:44
破綻処理に入った日本振興銀行は10日、警視庁の強制捜査を
受けて設置した特別調査委員会の報告書を発表した。主要取引
先でつくったグループ「中小企業振興ネットワーク」の間で、
資金を次々に転貸する迂回融資などの疑いがある行為を繰り返
していたことが明らかになった。大口融資をめぐる規制逃れや、
不良債権を隠すための「飛ばし」が目的とされ、預金保険機構
などは乱脈経営の責任追及に乗り出す。
経営の軸足が当初の中小・中堅企業取引から、前会長の木村剛
被告が唱える拡大路線へと変化。それに見合うリスク管理を怠
ったことが、破綻の原因になったと結論づけた。
報告書によると、振興銀は110社を超える企業を振興ネット
ワークとしてグループ化した。参加企業への融資総額は約
2300億円に上った。資本力に応じて規模が制限されている
大口融資規制をごまかし、貸し出しを増やすことや、振興銀が
直接融資した場合に積み増しが必要な貸倒引当金を圧縮するた
めだったという。大口融資に関する振興銀の自己査定では、
貸出先企業の財務実態が検証されておらず、「妥当性に重大な
疑問がある」と指摘。
●三井住友行員が迂回融資か/1億、詐欺で警視庁に相談
2009/01/05 12:11
三井住友銀行の男性行員(45)が新宿法人営業第二部グルー
プ長だった2006年、東京都品川区の自動車輸入販売会社
「オービット・トレーディング」を通して、融資基準に満たな
い渋谷区の不動産会社「コシ・トラスト」に約1億円を迂回融
資した疑いが強いことが5日、分かった。
同行関係者などによると、オービット社への融資は06年10月
にコシ社の紹介で実施され、ほぼ全額がコシ社に送金されていた。
オービット社が融資を申請する際、売り上げを水増しした偽造決
算書を使った疑いがあり、同行は詐欺被害で警視庁に相談した。
コシ社は当初、沖縄の産業廃棄物処理事業への投資名目でこの行
員に融資を相談したが、行員の上司が難色を示したため、オービ
ット社への融資を持ち掛けたとみられる。行員はコシ社社長らか
ら、繰り返し接待を受けていたという。
コシ社の紹介で同行が実施した60数社への融資のうち、既に約
100億円の焦げ付きが判明。同行の調査で、別の行員2人も
コシ社から接待を受けていたことが分かった。
コシ社をめぐっては、三菱東京UFJ銀行でも同様の融資で10
数億円が回収不能になっている。
●保身のため不正融資継続か/百十四銀事件で元支店長
2009/12/05 17:03
百十四銀行九条支店(大阪市西区)の不正融資事件で、特別背任
容疑で再逮捕された元支店長木谷康敏容疑者(55)が「名古屋
支店への栄転を前に、不正融資を暴露されたくなかった」と供述
していることが5日、大阪府警捜査4課への取材で分かった。
捜査4課は、不正発覚で異動が取り消されたり解雇されたりする
ことを恐れた木谷容疑者が、保身のため取引先の要求通り融資を
繰り返したとみている。
名古屋支店長への異動は08年1月4日付で、赴任直前まで企業
グループへの融資を決裁。九条支店を離れた後に実行されたもの
もあった。
取引先への融資約10億5千万円のうち、約2億円は九条支店の
取引先企業を救済するための迂回融資で、木谷容疑者から協力を
求めたとみられる。約5億円は取引先社長がマンション購入など
で私的に使用した疑いがある。捜査4課は残り約3億円の使途も
調べている。